ブログ

サイディング職人の仕事完全ガイド|未経験から独立までロードマップを公開

「サイディング職人って実際どんな仕事? 未経験でも食べていける?」

ネットで調べると求人広告や会社の PR ページばかりが並び、仕事内容のリアル・昇給のコツ・独立後にかかるお金・これからの需要など、全体像をつかむためのまとまった記事がほとんど見当たりません。

そこで記事では、

  • 現場で汗を流す若手職人
  • いくつもの現場を同時に動かす施工管理
  • 自ら会社を切り盛りする社長

への取材をもとに、サイディング職人のキャリアをスタートから独立まで一本の線として描きました。

この記事でわかる主なこと

  1. 未経験から3年で職長を目指すロードマップ
  2. ステージ別の年収推移と独立に必要なリアルコスト
  3. DX(デジタル化)がもたらす“ラク”な働き方
  4. 省エネ義務化・防災対策を背景にした10年先の需要予測

読み終わるころには、

  • 「今、自分が何をすればいいか」
  • 「5年後・10年後のキャリアと収入のイメージ」

を描けるようになります。工具の名前も知らない未経験の方から、内装・塗装職人のキャリアチェンジを考える方まで──肩の力を抜いて読み進めてみてください。

サイディング職人とは?

サイディング材の基礎知識

種類 主原料・構造 メリット デメリット 主な採用シーン
窯業系 セメント+木繊維 デザイン多彩/耐火◎/価格安 吸水で膨張・重量大 戸建て新築の約 65 %
金属系 ガルバリウム鋼板+硬質ウレタン 軽量/高断熱/施工速い 衝撃でへこみ・遮音△ 2–3 階アパート改修
樹脂系 塩ビ樹脂押出成形 30 年色あせ保証/寒冷地◎ 防火制限/価格高 北海道・東北の寒冷地
木質系 無垢・集成材+塗装 自然素材で意匠性◎ 防火規制多・メンテ頻繁 別荘・店舗のアクセント

ポイント

  • 重量が軽い=耐震性アップだけでなく職人の身体負担も軽減。
  • 芯材の発泡率や塗膜グレードが断熱・耐候性能を左右する。

職人の主な仕事フロー

  1. 墨出し・割付:レーザー墨出し器で水平・垂直を±1 mm以内に。
  2. 胴縁施工:通気層 15 mm を確保し、室内結露を防ぐ。
  3. 透湿防水シート貼り:タッカー 150 mmピッチ、重ね代 100 mm。
  4. 本体パネル取付:ビス・金具工法で風荷重に耐える固定。
  5. 役物・シーリング:雨仕舞いと美観の最終仕上げ。

品質を決める 5 大チェックポイント

  • シートの破れ/タッカー穴→防水テープで二重処理
  • 胴縁の含水率(20 %以下)→含水高いとパネル浮き
  • ビス締め付けトルク→締め過ぎで座屈、緩いと抜け
  • 接合部 3 面接着の回避→プライマー&バックアップ材
  • 通気見切り材の確実固定→湿気抜け道の確保

 現場別・1日の仕事フロー

 戸建て新築(窯業系)

時間 主な作業 コツ/注意 使用工具
8:00 墨出し 基礎天端から 1000 mm 基準線 レーザー
9:00 胴縁打ち 防腐処理材・気密テープ併用 インパクト
10:30 透湿防水シート 上下重ね 100 mm・タッカー穴防水 電動タッカー
13:00 パネル切断 集じん付きスライド丸ノコで粉塵削減 丸ノコ
15:00 パネル固定 ビスピッチ 303 mm ブラシレスインパクト
16:30 役物取付 コーナー金物を面イチに リベッター
17:00 退社

中古戸建てカバー工法(窯業 → 金属)

  • 高圧洗浄 15 MPa・汚れ残りは浮きの原因。
  • 段差 5 mm 以内にパテ調整 → 仕上がりがフラット。
  • 胴縁厚 18 mm で通気層+ビス保持力を確保。

 集合住宅(2–3 階アパート)カバー工法

時間 主な作業 アパート特有のポイント
7:45 KY ミーティング 入居者動線・駐車場位置を共有
8:15 フルハーネス点検 墜落制止用器具の RFID 読取で使用履歴を自動保存
8:30 パネル荷揚げ リフト+吸盤ハンドで 3.6 m パネルを 20 分で搬入
10:00 胴縁+防水シート 共用廊下を 1 スパンずつ養生しながら施工
13:00 金属パネル固定 ライン出し 0.5 mm 精度/窓廻り役物はAL完封
15:30 廊下清掃・写真報告 入居者クレームゼロを KPI に設定
17:00 退社 夜間騒音 NG → 残業週 1 日以下

必要資格と取得ルート

資格 受講時間 合格率 費用 取得メリット
足場の組立て等作業主任者 12 h 85 % 8,800 円 高所足場のリーダー格
石綿作業主任者 6 h 90 % 7,500 円 アスベスト外壁解体必須
外壁診断士 1 日+試験 65 % 32,000 円 劣化調査・報告書作成
建築施工管理技士 2 級 80 h 55 % 17,000 円 監理技術者補佐・昇給
建築施工管理技士 1 級 120 h 40 % 17,000 円 元請現場代理人・独立

勉強法のコツ

  • 法定資格は 法令条文を音読→過去問 3 周で OK。
  • 施工管理技士は 経験記述テンプレを早めに作成し、模擬採点で減点箇所を潰す。

最新工具&DXで変わる働き方

工具三種の神器(2025 年注目モデル)

  1. Bluetooth インパクトドライバー
    • ビス締め忘れをカウンターで通知。
  2. コードレスコーキングガン(デジタル圧力)
    • 押出し力が一定→目地厚ムラ 30 % 減。
  3. デュアルレーザー水平器
    • ±0.5 mm 高精度+スマホ連動で 1 人作業が可能。

DX がもたらす 3 つの“ラク”

項目 従来 DX 導入後
写真付き日報 手書き+USB アプリ自動生成(10分→3分)
材料発注 伝票FAX QR 在庫管理で自動発注
安全管理 目視巡回 ハーネス転落センサー+クラウド警報

キャリアパスと年収モデル

ステージ 主業務 年収目安 昇給のカギ
見習い (0–1年) サポート/材料運び 300 万円 安全意識+出勤率
職人 (1–3年) パネル主担当 420 万円 ビス 400 本/日+品質ゼロクレーム
職長 (3–5年) 工程・安全管理 550 万円 原価把握+後輩育成
施工管理 (5–8年) 複数現場統括 650 万円 書類力+補助金申請
独立オーナー (8年~) 元請直取引 700 万円+ 営業+資金繰り+税務

独立開業のリアルコスト

項目 初期費用 維持費(月)
軽バン+ラック 180 万円 15,000 円
インパクト・丸ノコ一式 45 万円
足場リース契約 20 万円 50,000 円
事務所(自宅兼可) 0~50 万円 20,000 円
合計 245~295 万円 7~10 万円

回収シミュレーション:粗利 30 %・月売上 300 万円→営業利益 90 万円。3~4 か月で初期投資を回収可能。

サイディング職人に“働きやすさ”が生まれる理由

  1. 週休 2 日モデル現場が標準化:国交省ガイドラインで土曜休み実現。
  2. **キャリアアップシステム(CCUS)**で技能レベル可視化→優良職人は単価アップ。
  3. フルハーネス義務化で死亡災害 5 割減→生命保険料も割安に。

業界トレンドと将来性

トレンド データ/法改正 需要への影響
省エネ義務化 2025 年、新築・増改築で断熱等級 4 必須 金属サイディング需要 2 倍
災害対策 南海トラフ対策、軽量外壁推奨 軽量化・耐震改修が補助対象
リフォーム市場規模 2023→2030 +12.4 % 新築減少を補完、技能者不足が顕在化
DX・ロボット化 自動ビス打ちロボ普及 単純作業減、技能は「精度」へシフト

まとめ

サイディング職人は、外観デザイン・断熱性能・耐震性を一度に向上させる“外壁のプロフェッショナル”。

  • 高付加価値改修 × DX ツール で「きつい」から「スマート」へ
  • 資格取得ロードマップが明確、未経験でも 3 年で職長&年収 550 万円
  • 独立開業で年収 700 万円超、10 年先も省エネ・防災需要が追い風

次に取るべき一歩は何か?
5 年後、どのステージに立っていたいか?

このガイドが、あなたの“外壁キャリア”の羅針盤になれば幸いです。さあ、街の景色も、自分の未来も、サイディングで“重ね張り”していきましょう。