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横浜の塩害に強い外壁術|サイディング“カバー工法”で錆と劣化を止める設計図

潮の香りがする横浜の街並みは心地いい反面、家の外壁には飛来塩分(塩害)という現実的な負担をもたらします。海岸から1〜3km圏にある住宅や、海風が抜けやすい道路・川沿いの立地では、ビス頭の赤錆、端部の白化、コーキングの早期劣化といった“小さなサイン”がじわじわ進みがちです。

そこで検討したいのがサイディングのカバー工法(重ね張り)。既存の外壁は残したまま、透湿防水シート+通気胴縁+新規サイディングで包み直すため、解体ゴミが少なく、工期も読みやすく、住みながらの施工にも向きます。

本記事は、横浜の塩害前提で外壁を考えるための実務的な設計図です。素材の選び方、納まりの勘所、見積書の赤ペンチェック、カバー工法が向かないケースの判断などを、現場の目線で具体化しました。読み終えるころには「うちの家はどの仕様が最適か」を自分の言葉で説明できるはずです。ご相談は、横浜エリアの外壁リフォームを手がける外間工業でも承っています。

横浜・川崎“沿岸条件”で外壁が受けるダメージとは

この章で伝えること: 海風が運ぶ塩分は、距離だけでなく風の通り道や方角で影響が変わります。最初に傷みやすいのは、金物・端部・コーキング。なぜそうなるのか、劣化の順番とメカニズムを押さえます。

飛来塩分は“風の通り道”で増幅する

海からの直線距離より、風の抜け方が重要です。海側からまっすぐ風が当たりやすい開けた道路・河川沿い・南東〜南面の壁は、塩分を含んだ湿気が乾き切らず、ビス頭・役物・切断端部に塩が乗りやすい。特に庇やバルコニーの下側の陰は乾きにくく、錆やコケの起点になりがちです。

「うちは海から遠いのに…」という家でも、風の“導線”に当たると症状が出ます。距離<風道という感覚で現場を見てください。

「海から何km?」より「海風面の納まり」

塩害は面で当たるため、正面から海風を受けやすい壁の納まりが寿命を左右します。

  • 見切り金物は、雨水の落ち方をコントロールする形状か

  • 下端(基礎上)の水切りは、逆流しない納まりか

  • 端部のシールは、日射と風雨の影響が強い面で太り気味(充填厚)になっているか

    こうした“細部の正しさ”が塗膜や基材のスペック差を凌駕することは珍しくありません。

よくある初期症状と見つけ方

塩害の序盤サインは地味です。

  • ビス頭の微細な赤錆:雨が伝って筋状の汚れに変わる前に対処が正解。

  • 端部の白化(チョーキング):指で触ると粉が付く。塗膜樹脂が紫外線と塩分で分解されている合図。

  • コーキングの早期痩せ・割れ:端部・見切り・サッシまわりから微細な浸水→下地のダメージが蓄積。

    台風後や潮風が強い翌日に海側面だけ集中チェックする習慣をつければ、工事を大ごとにせずに済みます。

塩害に強い“サイディング材”の選び方

この章で伝えること: 製品名より基材・塗膜・裏打ち断熱で判断。金属/窯業/樹脂それぞれの利点と弱点を、塩害前提で比較します。

金属サイディング(SGL系)を軸に比較する理由

SGL(次世代ガルバリウム)鋼板は、従来のガルバより耐食性を高めた素材。フッ素系など高耐候塗膜と組み合わせると、沿岸の退色・錆に強い“軸候補”になります。

さらに、背面に断熱材ライナーを一体化したパネルなら、遮熱・遮音にも寄与。夏の直射を受ける横浜の南東面では、屋内の体感温度上昇を緩和しやすいのが実感値です。

チェックポイントは3つ:

  1. 塗膜等級(フッ素/無機などの高耐候)

  2. 板厚と成形剛性(薄い=弱いではなく、成形と裏打ちで強度を確保しているか)

  3. 端部処理の手順(切断端部のタッチアップを標準化できているか)

窯業系を選ぶなら“塗膜×通気”が生命線

窯業系は意匠が豊富で、耐火的にも扱いやすい一方、塩害地では塗膜と通気が勝負です。高耐候塗膜を前提に、通気層(後述)を確実に確保。これが甘いと、裏面に結露が生じ、下地合板の腐朽やコケの発生につながります。メンテ周期(再塗装の目安)は計画段階で合意しておきましょう。

樹脂・アルミ・ステンの考え方

樹脂系は錆びにくく軽量で、海風面でもメンテが楽な場面があります。アルミは耐食性が高く、ステンレスは最強クラス。ただし、コスト・意匠・防火規制とのバランスを現場ごとに評価。集合住宅や準防火地域では仕様認定の可否から詰めると、後戻りが減ります。外間工業では、図面段階の相談から丁寧に伴走します。

カバー工法が塩害地域で有利な理由

この章で伝えること: 解体せずに二重外壁+通気層をつくれるのがカバー工法の強み。熱・湿気・塩分を“逃がす”レイヤー構成を理解します。

「二重外壁+通気層」で熱も湿気も逃がす

典型的な構成は、既存外壁→透湿防水シート→通気胴縁(目安15mm)→新規サイディング。この通気層が肝で、風の“抜け道”があるから塩を含んだ湿気が滞留しにくい。夏は遮熱、冬は乾燥を促す効果が狙え、塗膜の劣化スピードを緩めます。

解体ゴミが少なく、住みながら工事しやすい

撤去が最小限なので、粉じん・騒音・搬出が抑えられます。アパートや賃貸では、入居者動線と洗濯NG日の告知がカギ。外間工業では工事前に掲示物テンプレを共有し、クレーム予防の段取りを標準化しています。

ただし“何でもカバーOK”ではない

ALCの深い割れ下地合板の腐朽既存壁内の雨漏り進行などは、張り替え優先のシグナル。外間工業は点検口の設置・内視鏡確認・含水率チェックで“効き”を見極め、重ね張りに固執しない判断を徹底します。

細部ディテールが“寿命”を決める

この章で伝えること: 素材スペック以上に持ちを左右するのが納まり。端部・留付・見切りの3要素を、横浜の海風前提で具体化します。

ビスはSUS、切断端部はタッチアップ必須

海風面はSUS(ステンレス)ビスを基本に。留付ピッチはパネル仕様と下地の“効き”で決め、一律に広げないのが鉄則。現場カットした端部は、指定色の補修塗料でタッチアップし、切り粉掃除→脱脂→塗布までを一連の手順に。これを怠ると、最初に端部から錆が出るのは時間の問題です。

胴縁は樹脂or防腐処理材、通気15mmを死守

樹脂胴縁は吸水しにくく、通気断面を保ちやすい選択肢。木胴縁の場合は防腐・防蟻処理を確認。通気層は目安15mm。サッシ下や入隅で通気が詰まると、そこが劣化のホットスポットになります。**入気(基礎上)と排気(軒・笠木裏)**の確保も忘れずに。

透湿防水シートは“数字”で選び、写真で残す

透湿度・耐水圧など性能表示のあるシートを採用。重ね幅、貫通部のテーピング、サッシまわりの水返し処理施工写真で記録しておくと、将来のメンテ計画や保険対応がスムーズです。外間工業は写真台帳をお渡ししており、「何をどう施工したか」を後から確認できるようにしています。

横浜の家で「実際どれくらい」持つの?

この章で伝えること: 机上のカタログ値ではなく、メンテ前提での実用寿命を描きます。方位と環境で差が出る前提を共有しましょう。

金属×高耐候塗膜:再塗装は中長期スパンで

沿岸でも、年1回の洗浄+点検を続ければ、退色や錆の進行は大幅に遅らせられます。端部シールは10〜15年で増し打ちまたは打ち替えの検討。塗膜そのものは高耐候を選べば、中長期の再塗装スパンが見込めます。

窯業系:塗膜ランクと日当たりで寿命が変わる

南東面は紫外線と風雨をまともに受け、退色が早い傾向。初期費用が安い塗料を選ぶと足場回数が増え、総額が上がることがあります。**“一度の工事でどこまで先送りできるか”**という総コスト思考がおすすめ。

台風後の“3点”セルフ点検

  1. 端部のシールに裂け・剥離はないか

  2. 見切り金物の浮き・曲がりはないか

  3. ビス頭の錆が急に進んでいないか

    この3点だけでも早期発見・早期補修につながります。小さく直せば、次の足場を遠ざけられます。

見積書の“赤ペン”チェックリスト

この章で伝えること: 書き方ひとつで将来の手戻りが決まります。数量・仕様・適合の3観点で、不明点を確実に潰しましょう。

“一式”の中身を数量化する

「シーリング工事 一式」では比較ができません。何メートル(m)何平米(㎡)役物は何点といった数量の記載は必須。数量があれば、単価の適正も議論できます。

塗膜等級・ビス材質・端部処理を明記

塗膜等級(例:フッ素系)SUSビス切断端部のタッチアップ――この3つが明記されていない見積は要注意。あとからの“別途”や“その場対応”は、コストも品質も不透明になりがちです。

防火・準耐火の適合確認

横浜は防火規制エリアが少なくありません。準耐火防火構造の要求がある場合、仕様が適合しているかを最初に確認。適合外だと、契約後の仕様差し替え→費用増が発生しやすいポイントです。疑問があれば、外間工業に図面段階からご相談ください。

ケース別:張り替え優先か、カバーでOKか

この章で伝えること: 迷いがちな分岐点を“現場の勘所”に落とし込みます。判断は下地次第。写真と点検で決めるのが王道です。

ALCに広い割れ・浮きがあり、含水が高い

ALCは多孔質で水を抱えやすい素材。広いクラックや含水の高さが確認できるなら、カバーより張り替えを優先。表面を整えても、内部からの劣化には勝てません。

既存窯業系で、合板が黒ずみ・柔らかい

点検口や内視鏡で黒ずみ・指で押して柔らかい症状が見えたら注意。部分張り替え+カバーで再生できるケースと、全面張り替えが安全なケースの見極めが肝。ここは経験値が出る領域です。

金属サイディングで端部錆だけ目立つ

広範囲に基材腐食がなければ、端部処理・役物交換・部分カバーで延命が可能な場面も。海風面のみカバーという“攻守のバランス案”も検討の価値があります。外間工業は、全体改修/部分改修の両方を数字と写真で比較提示します。

横浜で工事する前に——住まい手・近隣への配慮

この章で伝えること: 技術だけで満足は生まれません。人の動線・生活リズムへの配慮を織り込み、工事のストレスを最小化します。

掲示と声かけは“最小コスト最大リターン”

着工1週間前に、作業時間・洗濯NG日・駐車のお願いを掲示。朝の挨拶ひと声、廊下清掃の徹底でクレームは激減します。外間工業は掲示文の雛形を事前共有し、現場ごとの修正も迅速です。

足場計画は“出入り動線”から逆算

玄関・自転車置き場・ゴミ出しの動線を先に確定し、住まい手の日々の行き来に支障が出ない計画を作ります。メッシュシートは風の向きを読み、バタつき音を抑える結束で固定。台風接近時は結束追加と点検で“音のストレス”を減らします。

養生は「横殴りの雨」も想定

台風時の巻き込み雨で濡れやすい共用廊下には臨時養生板を設置。材料の仮置きは通路幅を確保し、作業後は毎日写真で清掃結果を残す。こうした小さな配慮が、現場の空気をガラリと変えます。

まとめ|“塩害前提”で外壁を選ぶと、家は長く静かに持つ

横浜で外壁を長く持たせるコツは、塩害を前提に設計すること。素材の強さだけに頼らず、端部・見切り・通気の“地味だけど効く”要素を積み上げるのが近道です。

最後に、今日の要点をもう一度。

  • 海風面の納まり(端部・見切り・ビス)を最優先で検討する

  • 素材は金属SGL×高耐候塗膜を軸候補に、窯業は塗膜×通気で勝負

  • カバー工法=二重外壁+通気層の物理ボーナスを活かす

  • 胴縁15mm・樹脂or防腐処理/透湿防水シートは性能表示で選ぶ

  • 見積は**数量(m・㎡・点数)と仕様(塗膜・ビス・端部処理)**を明記

  • ALCや下地腐朽が疑わしい時は、張り替え優先で安全側に

  • 住まい手・近隣への掲示・声かけ・清掃を工程に組み込む

「うちは海からどのくらい?」「風はどこから抜ける?」――そんな小さな問いからで十分です。外間工業は、横浜エリアで塩害前提の外壁設計に日々向き合っています。図面や相見積の“赤ペンチェック”だけでもかまいません。あなたの家の最適解を、一緒に言葉にしましょう。